中和の問題の本質を5分で授業【高校化学】

こんな問題を解きたい人のための授業

Ⅰ.中和とは何か

Ⅱ.(酸/塩基の)価数とは何か

Ⅲ.電離度とは何か

Ⅳ.濃度$0.02$mol/Lの硫酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化ナトリウムが必要か

Ⅴ.電離度$0.2$で濃度$0.02$mol/Lの酢酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化バリウムが必要か

これだけ理解しよう

中和の問題のゴールは $H^+$の物質量 = $OH^-$の物質量 です

中和の問題を見たら、自分が出したい数を文字で置いてこのゴールを目指しましょう

なぜゴールが $H^+$の物質量 = $OH^-$の物質量 なのか

$HCl + NaOH → NaCl + H_2O$

これは中学生で習う中和反応の化学式です

このように中和反応では酸と塩基が反応し塩と水が出来ます

ここでいう塩とは 塩(エン) であり 塩(しお) とは違います

中和反応では必ず水が出来ます

塩はいわばその副産物です

では水はどこから来ているのか

もちろん水素イオン$H+$水酸化物イオン$OH^-$が反応して出来ています

$H^+$が$1$個と$OH^-$が$1$個あれば$H_2O$は$1$個出来ます

つまり

$H^+$が$6.0×10^{23}$個と$OH^-$が$6.0×10^{23}$個あれば$H_2O$は$6.0×10^{23}$個出来ます

よって

$H^+$が$1$molと$OH^-$が$1$molあれば$H_2O$は$1$mol出来ます

それでは問題を解いてみましょう

問.濃度$0.05$mol/Lの塩酸$400$mLと過不足なく中和するには濃度$0.02$mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液は何L必要か

ヒント
今回出したい数は水酸化ナトリウム水溶液が何L必要かという情報です

なので水酸化ナトリウム水溶液が$x$mLあると考えましょう

そして$H^+$の物質量と$OH^-$の物質量を考え、ゴールを目指しましょう

答え
必要な水酸化ナトリウムを$x$mLとおく

濃度$0.05$mol/Lの塩酸400mLに含まれる$H^+$の物質量は

$\displaystyle 0.05 × \frac{400}{1000}$ mol ・・・①

濃度$0.02$mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液$x$mLに含まれる$OH^-$の物質量は

$\displaystyle 0.02 × \frac{x}{1000}$ mol ・・・②

$H^+$の物質量 = $OH^-$の物質量になればよいので、①=②より

$\displaystyle 0.05 × \frac{400}{1000} = 0.02 × \frac{x}{1000}$

これを解いて

$x = 1000$

$1000$mL → $1$L より 答えは$1$L

(酸/塩基の)価数って何?

酸/塩基の価数とは

その酸/塩基から何個の$H^+$/$OH^-$が出るのかということです

いくつか例を出します

硫酸

$ H_2SO_4 → 2H^+ + SO_4^-$ と電離

$H^+$が$2$個出てくるので$2$価の酸です

リン酸

$ H_3PO_4 → 3H^+ + PO_4^{3-}$ と電離

$H^+$が$3$個出てくるので$3$価の酸です

水酸化バリウム

$ Ba(OH)_2 → Ba^{2+} + 2OH^-$ と電離

$OH^-$が$2$個出てくるので$2$価の塩基です

問題を解く際に注意しなければならないのは価数のかけ忘れです

硫酸$1$個からは$H^+$が$2$個出てくるので

硫酸が$1$molあれば$H^+$の物質量は$2$molです

つまり

酸/塩基の物資量 × 価数 = $H^+$/$OH^-$の物質量です

※電離度1の場合

それでは問題を解いてみましょう

問.濃度$0.02$mol/Lの硫酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化ナトリウムが必要か

ヒント
水酸化ナトリウムが何mol必要かが知りたいので、水酸化ナトリウムが$x$molあると考えましょう

価数に気を付けつつ$H^+$の物質量と$OH^-$の物質量を出し、ゴールを目指しましょう

答え
水酸化ナトリウムの物質量を$x$と置く

$H^+$の物質量は

$\displaystyle 0.02 × \frac{500}{1000} × 2$mol・・・①

$OH^-$の物質量は、今水酸化ナトリウムは$x$molあり価数は$1$なので

$x × 1$mol ・・・②

①=②より

$\displaystyle 0.02 × \frac{500}{1000} × 2 = x$

これを解いて

$x = 0.01$ よって答えは$0.01$mol

電離度って何?

電離度とは読んで字のごとく

電離する合いです

電離度の最大値は$1$です

理由は百分率を思い出せば分かります

$0.01$は$1$%、$0.4$は$40$%と書いていましたよね

同じことです

電離度$1$ということは$100$%電離するということです

そのほかも一緒です

電離度$0.01$の物質は$1$%電離し、電離度$0.4$の物質は$40$%電離します

電離度$0.5$の酢酸が$10$molあれば

$10 × 0.5 = 5$ より $5$molの$H^+$が出ます

酸/塩基の物質量 × 電離度 = $H^+$/$OH^-$の物質量です

※価数$1$で他に反応系と被る物質が無い場合

価数とあわせて考えると

酸/塩基の物質量 × 電離度 × 価数 = $H^+$/$OH^-$の物質量です

そしてこの電離度が強酸と弱酸を分けています

塩酸も$1$価の酸で、酢酸も$1$価の酸です

どちらも電離すれば$H^+$は$1$つ出来ます

ではなぜ塩酸は強酸で、酢酸は弱酸なのでしょうか

それは電離度に差があるからです

電離度が低ければ、それだけ電離せずに留まっている量が多いので

出てくる$H^+$の物質量は少なくなります

電離度が高いと強酸/強塩基で、電離度が低いと弱酸/弱塩基です

それでは、問題を解いてみましょう

問.電離度$0.2$で濃度$0.02$mol/Lの酢酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化バリウムが必要か

※強酸である硫酸の電離度が$0.2$とは考えづらいですが今回は解きやすいように$0.2$としています

ヒント

水酸化バリウムが何mol必要かが知りたいので、水酸化バリウムが$x$molあると考えましょう

電離度と価数に気を付けつつ$H^+$の物質量と$OH^-$の物質量を出し、ゴールを目指しましょう

答え

水酸化バリウムの物質量を$x$と置く

$H^+$の物質量は

$\displaystyle 0.02 × \frac{500}{1000} × 2 × 0.2$mol・・・①

$OH^-$の物質量は、今水酸化バリウムは$x$molあり価数は$2$なので

$x × 2$mol ・・・②

①=②より

$\displaystyle 0.02 × \frac{500}{1000} × 2 × 0.2= 2x$

これを解いて

$x = 0.001$ よって答えは$0.001$mol

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする