こんな問題を解きたい人のための授業
Ⅰ.中和とは何か
Ⅱ.(酸/塩基の)価数とは何か
Ⅲ.電離度とは何か
Ⅳ.濃度$0.02$mol/Lの硫酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化ナトリウムが必要か
Ⅴ.電離度$0.2$で濃度$0.02$mol/Lの酢酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化バリウムが必要か
これだけ理解しよう
中和の問題のゴールは $H^+$の物質量 = $OH^-$の物質量 です
中和の問題を見たら、自分が出したい数を文字で置いてこのゴールを目指しましょう
なぜゴールが $H^+$の物質量 = $OH^-$の物質量 なのか
$HCl + NaOH → NaCl + H_2O$
これは中学生で習う中和反応の化学式です
このように中和反応では酸と塩基が反応し塩と水が出来ます
ここでいう塩とは 塩(エン) であり 塩(しお) とは違います
中和反応では必ず水が出来ます
塩はいわばその副産物です
では水はどこから来ているのか
もちろん水素イオン$H+$と水酸化物イオン$OH^-$が反応して出来ています
$H^+$が$1$個と$OH^-$が$1$個あれば$H_2O$は$1$個出来ます
つまり
$H^+$が$6.0×10^{23}$個と$OH^-$が$6.0×10^{23}$個あれば$H_2O$は$6.0×10^{23}$個出来ます
よって
$H^+$が$1$molと$OH^-$が$1$molあれば$H_2O$は$1$mol出来ます
それでは問題を解いてみましょう
問.濃度$0.05$mol/Lの塩酸$400$mLと過不足なく中和するには濃度$0.02$mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液は何L必要か
(酸/塩基の)価数って何?
酸/塩基の価数とは
その酸/塩基から何個の$H^+$/$OH^-$が出るのかということです
いくつか例を出します
硫酸
$ H_2SO_4 → 2H^+ + SO_4^-$ と電離
$H^+$が$2$個出てくるので$2$価の酸です
リン酸
$ H_3PO_4 → 3H^+ + PO_4^{3-}$ と電離
$H^+$が$3$個出てくるので$3$価の酸です
水酸化バリウム
$ Ba(OH)_2 → Ba^{2+} + 2OH^-$ と電離
$OH^-$が$2$個出てくるので$2$価の塩基です
問題を解く際に注意しなければならないのは価数のかけ忘れです
硫酸$1$個からは$H^+$が$2$個出てくるので
硫酸が$1$molあれば$H^+$の物質量は$2$molです
つまり
酸/塩基の物資量 × 価数 = $H^+$/$OH^-$の物質量です
※電離度1の場合
それでは問題を解いてみましょう
問.濃度$0.02$mol/Lの硫酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化ナトリウムが必要か
電離度って何?
電離度とは読んで字のごとく
電離する度合いです
電離度の最大値は$1$です
理由は百分率を思い出せば分かります
$0.01$は$1$%、$0.4$は$40$%と書いていましたよね
同じことです
電離度$1$ということは$100$%電離するということです
そのほかも一緒です
電離度$0.01$の物質は$1$%電離し、電離度$0.4$の物質は$40$%電離します
電離度$0.5$の酢酸が$10$molあれば
$10 × 0.5 = 5$ より $5$molの$H^+$が出ます
酸/塩基の物質量 × 電離度 = $H^+$/$OH^-$の物質量です
※価数$1$で他に反応系と被る物質が無い場合
価数とあわせて考えると
酸/塩基の物質量 × 電離度 × 価数 = $H^+$/$OH^-$の物質量です
そしてこの電離度が強酸と弱酸を分けています
塩酸も$1$価の酸で、酢酸も$1$価の酸です
どちらも電離すれば$H^+$は$1$つ出来ます
ではなぜ塩酸は強酸で、酢酸は弱酸なのでしょうか
それは電離度に差があるからです
電離度が低ければ、それだけ電離せずに留まっている量が多いので
出てくる$H^+$の物質量は少なくなります
電離度が高いと強酸/強塩基で、電離度が低いと弱酸/弱塩基です
それでは、問題を解いてみましょう
問.電離度$0.2$で濃度$0.02$mol/Lの酢酸$500$mLと過不足なく中和させるには何molの水酸化バリウムが必要か
※強酸である硫酸の電離度が$0.2$とは考えづらいですが今回は解きやすいように$0.2$としています
